ピックルボールのルールを図解で解説|2バウンド・キッチン・サーブ
公開日: 2026-08-20
ピックルボールのルールを解説した記事は多いのですが、数値の出典が書かれていないもの、古いルールブックのままのものが少なくありません。
この記事は、2026年版USA Pickleball公式ルールブックの条番号をすべて明記して解説します。どの記述がどの規則に基づくかを確認しながら読めるようにしました。日本語の運用については、ピックルボール日本連盟の公式ルールも併せて参照しています。
この記事の前提: 2026年1月1日発効のUSA Pickleball公式ルールブックに基づきます。ルールブックは毎年1月1日発効で改訂されるため、大会に出場する際は最新版をご確認ください。
まず全体像|ピックルボールのルールは3つ覚えれば始められる
細かい規則は多数ありますが、最初に必要なのは次の3つだけです。
| # | ルール | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 1 | サーブは下から | 上から叩くサーブは禁止 |
| 2 | ツーバウンドルール | 最初の2球は必ずバウンドさせる |
| 3 | キッチンではボレー禁止 | ネット手前2.13mでノーバウンド打ち禁止 |
この3つを押さえたうえで、以下で1つずつ正確に確認していきます。
コートの構造を先に理解する
ルールの大半は「コートのどこか」に紐づいています。先にコートを頭に入れてください。
コートの寸法(規則3.A)
| 部位 | 寸法 | 規則 |
|---|---|---|
| コート全体 | 20フィート×44フィート(6.10m×13.41m) | 3.A.1 |
| ノンボレーゾーン(キッチン) | 7フィート×20フィート(2.13m×6.08m) | 3.A.4.c |
| ライン幅 | 2インチ(5.08cm) | 3.A.4.e |
| 必要な床面積(最低) | 30フィート×60フィート(9.14m×18.29m) | 3.A.3 |
コートの広さはシングルスもダブルスも同じです(規則3.A.1)。テニスのようにサイドラインが増減しません。
コートの測定は、外周ラインとノンボレーゾーンラインの外側の縁を基準に行います(規則3.A.2)。
コートの各部の名称(規則3.A.4)
| 名称 | 定義 |
|---|---|
| ベースライン | ネットと平行な、コート両端の線 |
| サイドライン | ネットとベースラインに垂直な、コートの両脇の線 |
| ノンボレーゾーン | ネットの両側7フィートのエリア。ラインもゾーンの一部 |
| センターライン | ノンボレーゾーンラインからベースラインまでの中央の線。左右のサービスコートを分ける |
| サービスコート | ノンボレーゾーンとベースラインの間、センターラインの左右のエリア |
| サービングエリア | ベースラインより後ろのエリア。サーブを打つ場所 |
重要な注意点: ノンボレーゾーンは二次元の平面であり、床から上の空間には及びません(規則3.A.4.c)。つまり、キッチンの上空に体が出ていても、床に触れていなければ違反ではありません。
ネットの高さ(規則3.B)
| 位置 | 高さ | 規則 |
|---|---|---|
| 中央 | 34インチ ±0.25インチ(86.36cm) | 3.B.7 |
| サイドライン上 | 36インチ ±0.25インチ(91.44cm) | 3.B.6 |
| ネットの長さ | 21フィート9インチ(6.63m)以上 | 3.B.3 |
| ポール間の距離 | 22フィート ±1インチ(6.71m) | 3.B.2 |
中央が約5cm低くなっています。センターを狙うほどネットミスが減るということです。
ルール1|サーブのルール(規則7)
ピックルボールのサーブは、テニスのように上から叩くことができません。サーブには2種類あり、どちらを選んでも構いません。
(A) ボレーサーブ|ノーバウンドで打つ
従来型のサーブです。次の3条件をすべて満たす必要があります(規則7.C)。
| # | 条件 | 規則 |
|---|---|---|
| 1 | パドルが明らかに上向きの弧を描いて動いていること | 7.C.1 |
| 2 | パドルヘッドの最も高い点が、手首関節の最も高い部分より明らかに上にないこと | 7.C.2 |
| 3 | インパクトの瞬間、ボールが明らかに腰より高くないこと | 7.C.3 |
フォアハンドでもバックハンドでも構いません(規則7.C.4)。これらに違反すると、サーバー側のフォルトになります(規則7.C.5)。
2026年版では条件2・3の文言に「clearly(明らかに)」が入っています。微妙なケースはサーバー有利に判断される、という趣旨です。
(B) ドロップサーブ|バウンドさせてから打つ
ボールを落とし、バウンドさせてから打つサーブです(規則7.D)。上記の3条件は一切適用されません。
代わりに次のルールが適用されます。
| ルール | 内容 | 規則 |
|---|---|---|
| リリース位置 | 自然な(無理のない)高さから手を離す | 7.D.1 |
| リリースの力 | どの方向にも投げつけてはいけない(自然落下のみ) | 7.D.2 |
| バウンド回数 | 制限なし(何回バウンドしてもよい) | 7.D.3 |
| バウンド位置 | 制限なし(プレー面のどこでバウンドしてもよい) | 7.D.4 |
初心者はドロップサーブ推奨。 打点の高さや上向きの弧を意識しなくてよいため、フォルトのリスクが大幅に下がります。
両方に共通するルール
立ち位置(規則7.A)
| 条件 | 内容 | 規則 |
|---|---|---|
| 接地 | 少なくとも片足が正しいサービングエリアに接していること | 7.A.1 |
| コート外 | どちらの足もコート内に触れていないこと | 7.A.2 |
| エリア内 | どちらの足も正しいサービングエリアの外の床に触れていないこと | 7.A.3 |
両足が浮いた状態(ジャンプサーブ)でのサーブはフォルトです(規則7.A.1.a)。
ボールの持ち方・離し方(規則7.B)
| ルール | 内容 | 規則 |
|---|---|---|
| リリース方法 | 片手のみ、またはパドルのみでボールを離す | 7.B.1 |
| 回転を加えない | 離す際に意図的な回転を加えてはいけない(自然な回転は可) | 7.B.2 |
| 見える位置で | レシーバーからリリースが見えること | 7.B.3 |
回転を加えられたと判断した場合、レシーバーはリターンを打つ前に限りリプレイ(やり直し)を要求できます(規則7.B.2.a)。
打つ場所(規則7.E)
- 対角線上のサービスコートに打つ
- 相手側のノンボレーゾーンを越えること。ネットに触れてもよい
- サービスコート外に落ちたらフォルト(規則7.E.1)
- ノンボレーゾーン(ラインを含む)に落ちたらフォルト(規則7.E.2)
サーブは1回だけです。テニスのようなセカンドサーブはありません。
ルール2|ツーバウンドルール(規則10.A)
ピックルボールを最も特徴づけるルールです。
サーブと、サーブのリターンは、それぞれ必ずバウンドさせてから返さなければならない。(規則10.A)
打球順ごとの整理
| 打球 | 誰が打つ | バウンドさせる? | 違反時 |
|---|---|---|---|
| 1打目:サーブ | サーブ側 | — | — |
| 2打目:リターン | レシーブ側 | 必須 | レシーブ側のフォルト(規則10.A.1) |
| 3打目 | サーブ側 | 必須 | サーブ側のフォルト(規則10.A.2) |
| 4打目以降 | 両者 | 不要(ボレー可) | — |
なぜこのルールがあるのか
サーブ側が最初から前に詰めてボレーで叩くと、ラリーが成立しません。サーブ側に「必ず1回下がって待つ」ことを強制することで、サーブの優位性を打ち消し、ラリーを長続きさせるのがこのルールの目的です。
混同しやすい「ダブルバウンス」
ツーバウンドルールとは別に、**「2回バウンドする前に返す」**という基本ルールがあります(規則10.B)。1回目のバウンド後、2回目がつく前に打たなければフォルトです(規則10.B.1)。
- ツーバウンドルール = 最初の2球は「バウンドさせなければならない」
- ダブルバウンス = 2回バウンドしたら「失点」
言葉が似ていますが逆方向のルールです。
ルール3|キッチン(ノンボレーゾーン)のルール(規則11)
初心者が最も間違えやすい、そして最も重要なルールです。
条文の正確な内容
すべてのボレーは、ノンボレーゾーンの外から始めなければならない。プレーヤーおよびプレーヤーに接触しているものは、ボレーをする行為の最中を除き、いつでもノンボレーゾーンに接触してよい。(規則11.A)
ここで「ボレー」とは、バウンドする前にボールを打つことを指します(公式定義 Section 2 “Volley”)。
3種類のキッチンフォルト
| # | フォルト名 | 内容 | 規則 |
|---|---|---|---|
| 1 | ノンボレーゾーン接触 | ボレーをした際、自分または自分に接触しているもの(パートナーを含む)がキッチンに触れた | 11.A.1 |
| 2 | モメンタム(勢い) | ボレー後の勢いで、キッチンに接触しているもの(パートナーを含む)に触れた。ボールがデッドになった後でもフォルト | 11.A.2 |
| 3 | 退出前のボレー | キッチンに触れた後、両足が完全にキッチンの外に着地する前にボレーした | 11.A.3 |
よくある誤解を全部つぶす
| 誤解 | 正解 |
|---|---|
| キッチンに入ってはいけない | ❌ いつでも入ってよい。ボレーのときだけ禁止 |
| キッチンでは打ってはいけない | ❌ バウンド後なら打てる。禁止はボレーのみ |
| ラインを踏むのはセーフ | ❌ ラインもゾーンの一部(規則3.A.4.c) |
| 打った後に勢いで入るのはセーフ | ❌ モメンタムフォルト(規則11.A.2) |
| ボールがデッドになれば入ってよい | ❌ デッド後でも、ボレーの勢いによる接触はフォルト(規則11.A.2) |
| パドルがキッチン上空を通るとNG | ❌ ゾーンは平面。空中は関係ない(規則3.A.4.c) |
| 片足が出ていればボレーできる | ❌ 両足が完全に外に着地する必要がある(規則11.A.3) |
覚え方: キッチンは「立ち入り禁止」ではなく「ノーバウンドで打つの禁止」。
得点とサーブ順(規則4・5・6)
得点の基本(規則4)
- サーブ権を持つ側だけが得点できる(規則4.A)
- ラリーに勝った側が1点を得るが、レシーブ側が勝った場合は得点にならず、サーブ権が移るだけ
- 通常は11点先取・2点差以上で勝利(公式ルールブック Section 1)
大会での得点形式(規則15.C)
すべて2点差で勝ちが原則です(団体戦のみ1点差可)。
| 形式 | 内容 |
|---|---|
| 3ゲームマッチ | 11点先取ゲームの2本先取 |
| 5ゲームマッチ | 11点先取ゲームの3本先取 |
| 1ゲームマッチ | 15点または21点先取 |
ダブルスのサーブ順(規則5.B)
両方のプレーヤーがサーブしてからサイドアウトになります。ただし各ゲームの最初のチームだけは、スターティングサーバー1人しかサーブできません(規則5.B)。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ファーストサーバー | サイドアウト後、チームのスコアに応じて右側に立つ側のプレーヤー(規則5.B.2) |
| セカンドサーバー | ファーストサーバーのパートナー |
| サイドアウト | 相手チームにサーブ権が移ること |
立ち位置のルール(規則5.B.3)
| 自チームの点数 | スターティングサーバーの位置 | そのパートナーの位置 |
|---|---|---|
| 0または偶数 | 右側 | 左側 |
| 奇数 | 左側 | 右側 |
シングルスも同じ考え方です。サーバーの点数が0または偶数なら右のサービングエリアから、奇数なら左から打ちます(規則5.A.1)。
ラリー中の位置は自由です。サーブ・レシーブの瞬間以外は、コート内外どこにいても構いません(規則5.B.4)。
スコアコール(規則6.B)
ダブルスは3つの数字(規則6.B.2)
「4 - 2 - 1」
↑ ↑ ↑
自分 相手 サーバー番号
チーム チーム (1人目 or 2人目)
ゲーム開始時は必ず「0 - 0 - 2」(ゼロ・ゼロ・ツー) です。最初にサーブするチームは1人しかサーブできないため、そのプレーヤーが「セカンドサーバー」として扱われます(規則5.B.2)。
シングルスは2つの数字(規則6.B.1)— サーバーの点、レシーバーの点の順。開始時は「0 - 0」。
その他のコール関連ルール
| ルール | 内容 | 規則 |
|---|---|---|
| 読み上げ完了前のサーブ | フォルト | 6.C.1 |
| 10秒ルール | コール完了後10秒以内にサーブしないとフォルト | 6.D.1 |
| コールする人 | 通常はサーバー。1ゲーム通して同じ人が行う | 6.B、6.B.2.a |
ネットまわりのルール(規則13)
| ルール | 内容 | 規則 |
|---|---|---|
| ボールがネットに触れる | プレー続行(インプレーのまま) | 13.A |
| 返球がネットに挟まる/垂れたネットに触れる | リプレイ(やり直し) | 13.A.1 |
| サーブがネット支柱などの支持構造に触れる | フォルト | 13.B.1 |
| ネットポールの外側を回す | 合法(ネットより低くてもよい) | 13.C |
| ネットとポールの間を通す | フォルト | 13.D.1 |
| ネットの下を通す | フォルト | 13.E.1 |
| ボールがネット面を越える前に打つ | フォルト | 13.F.1 |
| プレーヤーがライブ中にネットや支柱に触れる | フォルト | 13.G.1 |
| 相手または相手コートに触れる | フォルト | 13.H.1 |
規則13.Cの「ポールの外側を回して返す」ショットは、通称**ATP(Around The Post)**と呼ばれます。ネットの高さを越える必要がないため、非常に低い打点からでも決められる合法ショットです。
フォルトの一覧(規則Appendix A)
公式ルールブックの付録Aに、フォルトが一覧化されています。初心者に関係の深いものを抜粋します。
サーブ関連
| 規則 | 内容 |
|---|---|
| 7.A.1.a | サーバーの両足が床から離れている |
| 7.A.2.a | サーバーの足がコートに触れている |
| 7.A.3.a | サーバーの足がサービングエリア外に触れている |
| 7.C.5 | 不正なボレーサーブ |
| 7.D.6 | 不正なドロップサーブ |
| 7.E.1 | サーブがサービスコート外に落ちた |
| 7.E.2 | サーブがノンボレーゾーンに落ちた |
ラリー関連
| 規則 | 内容 |
|---|---|
| 10.A.1 | レシーバーがサーブをボレーした |
| 10.A.2 | サーブ側がリターンをボレーした |
| 10.B.1 | 2回バウンドする前に返せなかった |
| 10.C.1 | 打球がコート外に落ちた |
| 10.D.1 | 二度打ち |
キッチン関連
| 規則 | 内容 |
|---|---|
| 11.A.1 | ボレー時にノンボレーゾーンに接触 |
| 11.A.2 | ボレー後の勢いでノンボレーゾーンに接触 |
| 11.A.3 | キッチンから完全に出る前にボレー |
よくある質問
Q. サーブは何回打てますか?
A. 1回だけです。テニスのようなセカンドサーブはありません。
Q. サーブがネットに当たって入ったらどうなりますか?
A. そのままプレー続行です。規則7.Eは、サーブについて「相手のノンボレーゾーンを越えること。ネットに触れていてもよい。そして正しいサービスコートに落ちること」と規定しています。規則13.Aも「ボールがネットに触れた場合、ボールはインプレーのままである」としています。
テニスのような「レット(やり直し)」の規定は、2026年版ルールブックには存在しません。ネットに触れて正しいサービスコートに入ったサーブは、そのまま有効です。
ただし、ネットそのものではなくネット支柱などの支持構造にサーブが当たった場合はフォルトになります(規則13.B.1)。
Q. キッチンの上空にラケットが出るのはフォルトですか?
A. フォルトではありません。ノンボレーゾーンは二次元の平面であり、床から上の空間には及ばないと明記されています(規則3.A.4.c)。
Q. ボレー後にパートナーがキッチンに立っていて、そこにぶつかったら?
A. フォルトです。規則11.A.2はモメンタムによる接触対象に「パートナーを含む」と明記しています。
Q. シングルスとダブルスでコートの広さは変わりますか?
A. 変わりません。規則3.A.1で「シングルスもダブルスも同じ」と明記されています。
Q. ルールはどこで確認できますか?
A. USA Pickleballの公式ルールブック(英語・PDF無料)と、ピックルボール日本連盟の公式ルールページ(日本語)が一次情報です。URLは記事末尾に記載しています。
ルールを覚えたら、実際に打ってみる
ルールは読むより打つほうが早く身につきます。特にキッチンとツーバウンドルールは、体で覚えないと試合中に判断できません。
ピックルボールMAPでは、全国のピックルボール施設を検索できます。初心者体験会を開催している施設なら、ルールを教えてもらいながらプレーできます。
用語がわからなくなったらピックルボール用語集を、競技の全体像はピックルボールとは?をご覧ください。
参考文献
いずれも2026年8月20日に内容を確認しています。
- USA Pickleball「2026 Official Rulebook」 https://usapickleball.org/docs/rules/USAP-Official-Rulebook.pdf (参照: Section 1, Section 2 Definitions, 3.A, 3.B, 4.A, 5.A, 5.B, 6.B, 6.C, 6.D, 7.A, 7.B, 7.C, 7.D, 7.E, 10.A, 10.B, 10.C, 10.D, 11.A, 13.C〜13.H, 15.C, Appendix A)
- USA Pickleball「Official Rules」 https://usapickleball.org/rules/
- USA Pickleball「Rules Summary」 https://usapickleball.org/rules/summary/
- ピックルボール日本連盟(PICKLEBALL JAPAN)「公式ルール」 https://japanpickleball.org/rule/
参考になる動画
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